『涙腺』を聴いて。

皆さんいかがお過ごしですか。こんにちは、あいりすです。

Mixed Juice発売から10日ほど。そして昨日、ついにライブツアーがスタートしましたね!私はといえば、相変わらず相棒のポータブルプレーヤーくんに頑張ってもらってCDを聴き込む日々です。

様々な曲が今回もあり、少しずつラジオやYouTubeで解禁されていく中で、ひときわとても気になっていた曲がありました。『涙腺』です!
ラジオエディットでも痺れましたが、フル、ヤバかった…。ちょっとまとまり切らなそうですが、今回は『涙腺』フルを聴いての感想を書き留めてみようと思います。

 

 

まず言いたいのは、歌詞が、歌詞がWESTそのものなんです。

私は最近の彼らしか見てこれてないけれど、いろいろファンになってから聞いた話、彼らが語ってくれた話、そういうのがパアッと浮かんでくる。歌詞を聴きながら、答え合わせみたいに「ここ、あのことかな」「この頃こうだったのかもしれないな」とか思ってしまうんですね。

7人の歩んできた軌跡を想像できる、共有できる曲だなととても感じます。

見失う度に 差し出しあって

立ち止まる度に 励ましあって

中間くんが語っていた「デビューしてからずっと凪だった」という言葉。
歌詞と重ね合わせてジーンとなってしまいます。

そして

出会った頃の僕らに向かって 何か言えることがあるとしたら

「大丈夫だよ 信じてゆけよ かけがえのない旅になるから」

今、彼らはもう「凪の中」じゃなくて、帆を張って進んでいるんだということ。そしてそれをWESTさん自身が確信できる状況にやっとなってきたということ。何よりここのフレーズ、とても堂々と歌われてるんですよね。それがすごくうれしいし、誇らしく思います。そしてそんな凪の時代を経て、傍から見ても今メンバーそれぞれがドラマ・バラエティ・音楽・ゲーム…いろんな分野で活躍していて、テレビや各種コンテンツで見ない日はないくらい充実した活動をされている。そんな今だからこそ生まれる説得力であって、そしてこの先ずっと、聴いた人の心を動かし続けるのでしょう。

 

彼らの関係性を痛いほど感じてしまうのが、4種類のサビの歌詞です。

 

誰よりもいろんな想いを抱えているのに、直接伝えたいのに、近い関係だからこそ逆に言えないもどかしさ。素直な想いを口にするのになぜか勇気がいる。言わなくても分かり合えることにいつも頼って、つい裏腹な言葉が出てしまうこともあるのかもしれません。

心はどこにあるのか、という普遍的な問があります。答える人によって、考え方によって無限の答えが存在する、いわば答えのない問です。心の距離という言葉に、あえて《相手との関係性、信頼性の度合い》という意味合いと、《相手に対して想っていることを伝える過程》という意味合いの2つを当てはめるとします。そうしたとき、この2つの「心の距離」は、一般的に相反するものになるのではないでしょうか。

関係が近ければ近いほど、自分の気持ちを相手に伝えるのに多くの困難が立ちはだかる。同じ「心の距離」なのに。そして、その「困難」というものだって、考えてみれば大方「心」と形容できるものなのです。

 

言葉にするのは気恥ずかしくなるほどずっと長く一緒にいて、互いが互いに良き理解者であって、家族とも友達とも違う、特別な関係の7人。2種類の心の距離は

ありがとう 君がいて良かった

そしてラスト

これからも ずっとよろしくね

で同じ近さへと変わっていく気がしています。ありふれた言葉ではあるけど、ここに至るまでの歌詞を噛みしめて心に沁みる言葉です。

 

そしてここは、特に最後の大サビ、歌割が最高過ぎることも忘れてはいけませんよね。

ラスト、重岡さんが満面の笑みで、もしかしたらピアノを弾きながら(※念のため断りますが、あくまで演出の想像です。実際の演出はまだ知りません。)、あの優しいまなざしでメンバーの目を見ながら、「ありがとう 君がいて良かった」と歌うその姿を想像するだけで胸が苦しいのに…。さらにそれに答えるように、そして互いに言葉を掛け合うように、7人の「これからも ずっとよろしくね」—————————。

なんてあたたかな空間。ほんとに、ほんとうに、ほんとうに良い。もう、これ以上の言葉は望みません。いつでもCDプレーヤーの中で7人がそう言い合ってくれていれば、人生頑張ろうと思えるから。これからの人生の支えになる言葉です。

 

 

この曲が7周年を経て8周年の年に出た意味とは。あまりこういうことは考えない人間ですが、少しだけ。

聴いていて雰囲気が近いなと思う曲があります。6周年の年に出た『はんぶんこ』です。それぞれが作詞を担当した合作として、今までにない試みで話題になりました。7人それぞれの体温が伝わる曲です。そして去年は、7人がそれぞれソロ曲に挑むという、これもまたWESTとしては初の試みでした。7人のカラーがそれぞれ出た、7つの楽曲が生まれました。そして8周年の『涙腺』は、これらの系譜を引く曲であるような気がしています。6周年は合作という試み、7周年はソロ曲という試み。8周年では試みと銘打つなにか特別なものを持たずとも、7周年までに積み上げてきたものを歌に集中してぶつける、いわば歌い方、歌唱力1本で勝負に挑んだ曲ではないかという気がします。

 

歌い方という点、私には細かい専門的なことはさっぱり分かりませんが、それでもすごく繊細で丁寧になっていることは何となく分かるのです。素人にも分かるのだから、相当著しい変化があるのだと思います。

『涙腺』で気づいたことだけでも、冒頭の小瀧さん、イントロの雰囲気と違和感のない入りの自然さ。楽曲の雰囲気に合わせて歌い方を自在に変えられる器用さと適応力。こういったバラード曲の入りは彼が務めることが比較的多い印象ですが、もともと優しくて入りに似合う声は、さらに深みと豊かさが増した印象があります。中間さんは、中間さんの歌割が来るとすごく安心すること。ライトで明るい声質がバラードの中ではまるでオアシスのようで、そして安定感や説得力も持ち合わせた歌声は、しっかり曲になじんでいて聴きやすい。桐山さんはのびのびと気持ちよさそうな歌い方に心が洗われますし、低音でも高音でもブレず、且つきれいに響く安定感。強い。神山さんは1番サビ「ありがとう 君がいて良かった」の透明感といったら…!美しすぎて神々しい。それに優しい響きの歌声が生む包容力が堪りません。濵田さんは何といっても、言葉一つひとつを丁寧に、気持ちを込めて歌ってくださるところが素敵です。大サビ前の「せりあがる愛が~」の「愛が」の力強さ。2番Bメロ「声をかけあって」の穏やかさ。とても印象に残ります。

中でも特筆すべきは、重岡さん藤井さんです。

重岡さんがすごいと思ったのは、1番と2番でガラリと歌い方を変えていること。1番の

なんか照れくさい言葉ほどまっすぐにこの想い

伝えてくれるから厄介だな

ここは、元気いっぱいで、情熱漢ないつもの重岡さんな感じをお見受けするのですが、今回初めて2番を聴いて、

雨の冷たさ 闇の深さも 知らなかったあの頃と違って

ハッとさせられました。同一人物か??と一瞬疑ってしまうほど、「闇」を感じさせるというか、深みのある渋い声。こんなしげちゃん、今まで聞いたことなかった。表現力の幅広さを直に感じて圧倒されました。

そして藤井さん。少し前から、YouTubeにレコーディング動画が上がるようになりましたが、『オレとオマエと時々チェイサー』でお?となってから、『Mixed Juice』のフェイクでおおお?となって、『ブルームーン』『つばさ』でおおおおお?????そして今回で確信しました。

『涙腺』で言えば、特に2番の入り。初めて聴いたとき、今までの藤井さんの歌い方や雰囲気とは明らかに違っていて、戸惑いました。Bメロが濵田さんで、さっきのところが藤井さんだと気づいた次第です。親目線で申し訳ないですが、成長がすごい。

というのも、先ほど話題にした7周年のソロ曲、私は藤井さんソロの『FLOWER OF ROMANCE』を、私は藤井さんの魅力を最大に引き出した「藤井さんらしい」曲だと感じていました。しかし、少し違うのかもしれません。
『FLOWER OF ROMANCE』が似合うのはあくまで去年の時点の藤井さんであり、この曲があってこそ、藤井さんの変化を我々は感じられる気がするのです。今までの「藤井さんらしさ」に、さまざまな要素が足されて、掛け合わさって、新しい「藤井さんらしさ」がどんどんこれから生まれるでしょう。そして、きっと今後ソロ曲を出すとしたら、きっと似合う曲は全く違う曲になるんだろうなと感じます。どんどん最高をアップデートしていく姿がカッコいいです。

 

そしてなんといっても、7人の声が合わさったときのパワーがすごい。

なんというまとまり。7人の、それぞれの個性あふれる声が、1つの束になったときの強さ。美しさ。優しさ。個性は立っているのに、ケンカしない、ばらけない。

メンバーも仰っていることですが、一昨年の『証拠』辺りから、聴いている人の背中をまっすぐ押すような曲が増え、音楽番組のたびにメンバーが熱く歌唱する姿が話題になってきました。もともとの仲のよさと信頼関係、歌唱力に加え、こういう曲が増えたからこそ、何という言葉が適当なのか分かりませんが、言うなれば《熱さ》のようなものが彼らの曲の中で確立され、7人の声を以前よりももっと強くまとめ、ぐっと太く、力強くしているように思えます。

そして今の歌声こそ、7人が「出会った頃」から「涙腺が緩くなった」今まで、年月とともにずっと育んできたものであり、7人の「絆」を象徴するものになっている。
まさに”『涙腺』の曲そのもの”といえるのではないでしょうか。

そしてこのことは、先ほどの歌唱力で挑む曲という話にもつながってくるように思えます。

 

最後に。

作詞作曲を担当されたwacci橋口さんは、この曲を書くにあたっていろいろとWESTのことを調べてくださったとお聞きしました。きっとWESTのファンではなかったでしょうし、書くまで知らなかったことも多かったと思います。

それでも7人の関係性をつかみ、表現し、曲にしてくださった。その曲は今の7人を体現するような楽曲、そして7人を応援している人々の胸を打つような楽曲。そんな最高の楽曲を、チームジャニーズWESTにもたらして下さったことに、頭が上がりません。

 

『涙腺』は、イントロやアウトロのピアノの旋律もあいまってか、桜の季節が似合う曲だと感じます。いつか卒業ソングの定番になってほしい。そして人生の節目にともにある名曲として、未来のジャス民さんたちにも、WESTを知らない層にだって、いつまでも愛され、歌い継がれる曲になることを祈って。